皮むきの後は磨く作業。おなじみの工具だけど違いは何?
樹皮を剥く作業は、表面の厚い皮を取り除くことだったが、今度はその内側の薄い皮をヤスリで磨いてきれいにする作業がある。
磨いた後に、塗装をして東屋の建材として使うからだ。
その時に、大気や水分に触れることで自然に剥がれたりもするので、完璧に仕上げないといけないわけではないけど、ヤスリをグルグルと押し付けて磨いたりすると、塗料を塗ったときにその部分がムラができるらしい。
そのため、できるだけ木目に沿って縦に振りながら磨くとよい、と教わった。
ただ、枝の張っていた節の部分だけは、回しながら入念に磨いて突起を滑らかにする必要はある。
これを2日がかりで作業した。
きれいに磨けていくので成果が目に見えて面白いと思ったけど、実は腕よりも腰への負担のほうが大きかった。
中腰の姿勢でヤスリを回していると、すぐ腰が痛くなる。
おまけに木くずを直接浴びるから、数分ごとに作業を中断して木くずを払いのけ、位置をスライドさせるのに電源のコードリールをずらし、1面を磨き終えたら材を回してストッパーを置いてまた磨いていく。
だから、1本を仕上げるのに1時間以上はかかったのだった。
さて、電動ヤスリを「サンダー」と呼ぶのは知っているけど、似ているものに「グラインダー」がある。
工具自体は同じものだと思っていたけど、磨くものが違うのだった。
そう、サンダーが回転部に「やすり・サンドペーパー」を着けるのに対し、グラインダーは回転部に「砥石」を着けるもの。
だから、砥石のほうが重たいし、工具自体もサンダーよりも頑強な感じでできている。
一つの作業をひたすらこなしていきながらも、休憩はしっかり取るのが親方の流儀。
だから、そんなスキマ時間にひょっとした疑問も湧いてくるのだった。
いろんな工具を触る数だけ、いろんな疑問が出てくることだろう。
そうして掘り下げていって究めていくのも、職人への道なのかもしれない。