2回目の講習でわかった菌ちゃん農法の新事実、そして質問。
1時間弱の土づくり実演の最後は、畝にみんなで手を合わせて菌ちゃんの成長を祈る願掛けをして、そのあとは近くの公民館で座学。
去年受けたときよりも人数が多くて、30人くらいはいたと思う。
主催の農園がある町の町民は、どうやら割引で講演を受けられたらしく、町民がけっこう多かった。
安いからとか暇だから、ではなくて、地元の自然栽培をどう活性化させるか、熱量の高い町民が多かったのかな、と思った。
虫が食べる野菜は健康なのか?
満員御礼の公民館の一室で、講義に熱の入る菌ちゃん先生。
有機農法の実践家として、常識を覆す知見やデータを元にしながらも、笑いもあり和やかな雰囲気で話を進めていく。
中でも、先生が行く先で必ず力説するのが、
「農薬まみれの野菜は虫も食べない」
「無農薬の野菜は虫も食べる」
という定説のウソ。
植物が弱る原因には、
・自然老化(枯れてしまう)
・悪環境(天候不順、低質な土壌)
・人の行為(物理的破壊、栽培技術の未熟)
・土の腐敗(水分、有機物の問題で発酵しない)
などがあって、こうした死にゆく生命体は
・ファイトケミカルを十分に作れない
・窒素代謝不足で有害ガスが発生する
・細胞壁が弱く外敵が侵入しやすい
だから、植物が本来の生命力を失ってしまうから外敵に抵抗できずに害虫や病原菌が発生してしまう、ということ。
植物は生産者、人間は消費者、そして微生物は「分解者」。
自然界の食物連鎖のしくみに沿って、お野菜は生きては死にゆき、循環をしているのだとわかる。
食物連鎖という、学校で教わった昔の記憶が、菌ちゃん先生によって呼び起こされたのだった。
木を使った畝づくりの新事実
これは、先の実演のときの畝づくりの図。
分解しにくい木(枝、薪、丸太)を、畝を造る最初に溝を掘って埋め込んでおくこと(青丸部分)で、菌ちゃんのエサが長持ちする。
その一方で、分解しやすい落ち葉や枯れ草、もみ殻などを畝の上部に敷き詰めておく。
その大まかな寸法がこのとおりで、180センチ幅のマルチなら畝がすっぽり覆いかぶさるようになっている。
本来分解しにくい木を埋めることで土壌を窒素飢餓状態にして、糸状菌の生育を促すというのが、菌ちゃん農法のおおよその理論。
同時に、糸状菌が育ちやすい土壌環境にするために、適度な湿気と通気が必要でもある。
微生物も生物である以上、環境によっては菌が育たないし、死滅してしまうのだ。
2024/2/1
菌ちゃん農法の本が発刊されました!
畑でもプランターでも、微生物の力で元気野菜ができる土づくりの手引き書です。
泥炭地でも菌ちゃんは育つのか?
僕が畝づくりをしている”村”は、札幌近郊で石狩川水系の泥炭地にある。
移住して村人になった直後、畝を造るのに側溝の土を掘ったときに、泥炭の黒い土に混ざって古代の木片が湿った状態で発掘されたのだった。
そのとき思ったのが、
「この泥炭土は、木が自然のまま埋まっているから、炭素が固定されているから、菌ちゃん農法的に適しているのではないか?」
ピートモスという泥炭由来の肥料もあって、土壌改良に使われているのだから、有害なわけがないはずだから。
あれから半年。
思っていた疑問を、千載一遇のこの場で先生に質問してみた。
「菌ちゃんは泥炭質の土でも育つんですか?」
先生の回答は・・・
「わかりません!ぜひチャレンジしてみてください!」
全国行脚しているとはいえ、九州人の菌ちゃん先生にとって、北国の事情までは詳しくないのは理解しましょう。
泥炭地は低温で水分が多く、地盤沈下しやすいため農耕に向かない、といわれる。
そのため戦後、大規模に公共事業として客土等をして土壌改良を進めて、いまや稲作や畑作地帯となっている石狩平野。
だから、泥炭の土を分解できるかどうかは、僕たち小さな実践家のチカラにかかっている。
ここで菌ちゃん土づくりがうまくいけば、僕たちのプロジェクトも軌道に乗れるかもしれないね。
(座学のおおまかな内容は、以前の記事を参照してください。)
菌ちゃん畑のその後は・・・