居酒屋ランチの合間に一本の電話。これで本当に前へ進める。
数年ぶりにわが街を襲った黄砂のせいで、クルマのボディがどろどろになってしまったのを気にしながら、今日のお昼は知人のお誘いで居酒屋ランチに行った。
子ども食堂で給食や弁当を作って、ハーブの講師もやっている知人がぜひぜひ!と勧めてくれたから、こんなにもオーガニックで、見て楽しく、舌でも楽しめる、そんな感じの定食。
妻と娘とその知人はボックス席で談笑し、僕は一匹狼的にカウンターの隅で読書しながらこの定食をつまむ。
そんなスタイルで黄砂明けの昼のひとときを過ごす。
僕は普段は早食いのほうだけど、こういう手作り感満載の料理は、時間をかけてゆっくりと食べる。
料理じたいの丁寧さと、空間を提供してくれるお店の人への感謝を、しみじみ感じながら食べたいから。
しばらく経って一本の電話が。
銀行からだった。
「本日、入金がありましたのでお電話いたしました。記帳されてましたか?」
「いいえ。」
「おそらく退職金か何かだと思いますが、この地域を担当しております〇〇と申します。」
「そうだと思います。よろしくお願いします。」
ああ、やっと前に進めそうだ。
新生活をするのに、物件とかクルマとか引っ越しとか、ようやくツケを払うことができるんだ。
支払いに行く日時を予約してその担当者との電話を切ったが、本当のところは金融商品の紹介だったのだろう。
銀行にしろ、保険にしろ、サラリーマンの動きには目ざといのが外交員だと思っている。
僕も娘が産まれて間もないころには、生命保険の見直しとか、いろいろ押し切られそうになったし。
人生経験が長くなると、そうした人の心の裏事情も読めてしまうのが何とも。
昔は純粋なのが良いと思っていたけど、それではこの世の中をサバイブできないよね、って。
ランチを終えて家に帰ると、元の職場からの振り込み通知の封筒とともに、先の担当者がポスティングした金融商品の案内も案の定、郵便受けに入っていた。
うん。わかるわかる。
でも僕は忙しいんだよ。
引っ越しの片づけしないといけないし、やっとツケを払うことができる段階にきたのに。
今月末で引っ越すんだよ。金融商品のことは後からにするわ。
気が向いたらね。それでいいでしょう?
こういうのって、後日上司とともにセールスに訪問に来るという話も聞くんですけど。
どうなんでしょう?実際のところは。
何とも気になるところだ。