原木しいたけは春が旬!ホダ木作りとレシピ研究にいそしむ日々。
春の山仕事の一発目は、原木しいたけの伐採と菌の植え付け。
北国の雪解けが進んだ3月末のある日。
僕は親方と原木しいたけを作るホダ木を買い付けに行った。
秋に伐採し、一冬寝かせたホダ木200本が整然と並べられていて、ユニック車で積み込みするのも一苦労だった。
親方の山に帰ってきてからは、ホダ木に孔を開けて菌を植え付ける「駒打ち」という作業を何日もかけて黙々とやる。
慣れてくると、1本仕上げるのに10分もかからずにできるようになった。
しいたけの原木栽培は、工場などで瓶におがくず等を詰めて温度や湿度管理をして作る菌床栽培とは違って、設備は必要ない代わりに時間がかかる。
主にミズナラ等のどんぐりが成る木を伐採した後、90センチ程度に玉切りして山から積み出し、木陰に積んで保存しておく。
ある程度水分を乾かして熟成させる必要があるため。
菌を植え付けたら、ホダ木全体に菌が回るまで2回夏を越す。
そして寒くなり始めてくると、少しずつしいたけが生えてくる。
なんとも自然任せな原木栽培だけど、その分生えてくればうれしいものだ。
春から早速の大仕事だった。
山で生きる人の暮らしを改めて体感したけど、ここで一つの疑問が。
あれ?きのこの旬って秋じゃないの?
工場などで菌床栽培されているきのこは一年中流通しているから、季節とか旬とかあまり実感しないけれど、山に入ってきのこ狩りするのって落ち葉の季節、のはず・・・
実は、原木しいたけは秋よりも3月から4月の春に獲れるほうが多く流通しているらしい。
寒い冬を越したしいたけは水分や養分を多く蓄えて風味が増す。
そして大きくなりやすい。
秋のしいたけよりも虫が付きにくく、傘の裏のヒダも白くて綺麗。
ひょこっと顔を出したしいたけ達を見るのも微笑ましい。
傘が開きすぎずに縁が内側に巻いている状態がベストだけど、傘が開いて大きくなりそうなものを十数個獲って、家で調理するために持ち帰った。
原木しいたけ栽培セット。けっこう売ってますね。
(菌だけど)生きものを育てる観点からも、自由研究にも良さそうですね。
大切な原木しいたけ。1個まんまで調理したい。
傘は開きぎみだけど、虫もつかずみずみずしい。
春を感じる新鮮な生しいたけだから、スライスではなく一個まんま使えるレシピがいい。
更に、ただ焼くだけでは物足りない。
そうやって発想を巡らせた末、「肉詰め」がいいと思った。
一例に挙げた「つくね」は、大葉を刻んで入れるのがポイント。
香り高く、つまみにもなるという逸品。
僕の感想ですが、レシピにチーズやマヨネーズが多く使われているのは、おそらくしいたけの匂いや後味が嫌いな方が多くて、その匂いや後味を消すためにチーズやマヨネーズを使うのだろうな、って思いました。
実際、しいたけには硫黄化合物を吸収する特性があって、他のきのこにはその特性が無く、それがしいたけ嫌いの元になっているのではないか、と思うと納得しました。
ホダ木の相場っていったい?
しいたけを身近に感じた作業の余韻から、僕は帰りにホームセンターに寄ってみた。
春が旬ということもあって、案の定ホダ木が売っていた。
家庭でも原木栽培しやすいような完熟ホダ木は、おおむね2,000円くらいで売っていたが、菌が回っていない未熟な原木だと1,000円くらいが相場だとわかった。
生きものだから育つのには刺激が必要。
自然の林で生えてくるのを想像しながら、春や秋の発生適期に一度水に浸けて、その後は湿った布や霧吹きなどで常に表面を湿らせておくといった手入れが大事。
温度や水分管理が大事ではあるけれど、うまく管理してしいたけが生えてきたら感動!!すると思いませんか?
そうしたら、しいたけに愛着を感じて食わず嫌いも解消するのではないかな?って思います。
僕の実家にはきのこ図鑑がありました。
今想うと懐かしさもありますが、現代ではDVD図鑑もあって、ビジュアルに訴えることで子どもたちにもきのこへの愛着が持てるようになるかもしれませんね。