自伐型林業のすすめ(その6)~カーブを上手く造るには~
道なき山に道を造る。
それは木を切りだすための軽トラを走らせるためでもあるけど、自伐型と呼ばれる小規模林業では環境に配慮した地域の憩いの森づくり、という意味合いもあるから、散策道を造ることでもある。
ユンボで掘った地山はまだまだ柔らかい。
ここからキャタピラを前後させたりバケットを叩きつけて転圧を繰り返す。
谷側の路肩は緩いから、雨水や雪解け水で流れ出てぐじゃぐじゃになると作業道は使いものにならない。
だから、ゆっくりと丁寧に転圧して締め固める必要があるのだ。
そして重要なポイントがある。
直線を長くとるとユンボ作業は少ないけど、雨水や雪解け水が溜まってしまう原因にもなる。
だから、こまめにカーブを造っておくことが重要で、どこにカーブを造るか、そのカーブとカーブをどうつなぐかも作業道の設計に必要なのだ。
道がカーブになると、谷側に水がはけやすくなる。
そして、カーブの外側を低く、内側を高くしておくこともポイントだ。
このほうが、作業道を長く使うと自然と道が締め固められて安定するらしい。
研修の山は大きく2層になっていた。
黒土の表土と、粘土質の心土。
表土は落葉が分解してできた黒土で、ドングリとか他の植物も表土に根を張っていた。
表土は柔らかいから、栽培には向いているかもしれないが、作業道を造るには緩いのだ。
だから、黄土色の粘土質の心土でしっかり固めないといけない。
ユンボを進めたら、心土の塊をを手前まで引っ張って、作業道の表面を堅固なものにする。
こうして、水が流れ出にくい安定した道ができるのだ。
そうやって、プロの林業家は長年、地道に作業をしてきたのだなあ、と実感した。
太い幹の年輪のように、生き様にも年輪が感じられた。
チェンソーのような即戦力になる派手な作業ではないけど、地図を読み、地形を読む作業道設計は地味だけど自伐経営するにあたっては重要な意味を持っているのは間違いない。
今回の講師、作業道の伝道師の技!
https://youtu.be/-nrxu0ACfyA