今年初の伐採作業。風の丘にたたずみながら僕の行く先を想う。
退職して最初の平日を過ごして、引っ越し作業で忙しいかなと思いきや、いまの段階ではそこまで梱包とか片づけはしなくてもよいことがわかった。せいぜいゴミ出し程度。
だから、昼間はぽっかり穴が空いた感じもあったけど、この生活も今月いっぱいまでだと思うと張り合いもある。
そんな中、去年受けた 林業研修 の主催団体の方から、杉の木の伐採のオファーが来ているので手伝ってほしいとの呼びかけがあったので、土日2日かけて参加。
講習を受けた去年秋の雰囲気が、この春にも蘇るのかな、とちょっと期待。
依頼主は、僕の家から車で30分ほどの小高い丘の上に土地と山を持ち、コテージやレストハウスなどを建ててちょっとしたリゾート施設を営んでいる方。その名も「風の丘」。
僕も去年この場所を訪ねたことがあって、オーナーや従業員がログハウスを建てるために大工仕事をしたり薪割りをしたり、レストハウスの従業員がピザを焼いているのを眺めていたから、良い暮らしをしているなあ、って感心したのだった。
そのログハウスが完成されていて、更にドッグラン用の小屋やコースも造られていて、心が躍った。
そして更に、冬には林の中にスノーモービルのコースを造りたいそうだ。
だから杉の木を伐採して道を造ってほしい、というのが今回の依頼だった。
去年受けた伐採の講師から、伐り方のおさらいを学ぶ。
だが、去年の受講生は僕しかいなく、他10人くらいは主催団体で数年参加しているボランティアなので、伐採作業は慣れているようだ。
事前に団体の方が現地踏査を済ませていて、伐る木と残す木を赤テープを張って目印をつけていた。
伐る木には番号がついて、残す木はスノーモービルの道幅に合わせて赤テープを括り付けてあり、2日で40本ほどを10人がかりで伐採した。
安全第一で作業して、無事2日間で40本余りの木を伐って、レストハウスの従業員が作ってくれたお茶やピザをつまみながらお疲れ様会をして解散。
みんなで木を伐って道が開けて、ひとまず作業を終えたという充実感を感じながら、僕は帰りの車の中でいつもの缶コーヒーを飲む。そして家に帰って45度の熱い風呂に入る。
そこで思うのは、物を作ること、建設することは注目を浴びやすいけど、解体すること、伐採することだって陰ながら大事な仕事のはず。
特に前職のときは、建物の解体にかかる移転費用や、木を除去するために伐採や移植の費用、それらの現在価値を算定して補償をすることを仕事にしていた。
だから、どこかで自分の仕事が繋がっていたのだと思うと、不要不急な仕事などないし、人の仕事を不要不急だと批判することは失礼なことだ、と僕は断言したい。
来月から、僕も新しい土地でこういう作業もするのかと思うと、緩みかけてた心に緊張感が増してきた感じがした。
僕ができる、提供できる引き出しの一つとして、少しづつ積み重ねていこう。